スポンサードリンク

うちのお寺「真言宗」の基礎知識

うちのお寺は真言宗。と知ったのは、大好きな叔父の葬儀のときでした。自分の菩提寺の宗派など、それまでは、まったく興味の無い事柄でした。

しかし、お葬式や法要など、いざとなると大事なのが、先祖代々から長きに続く菩提寺とのお付き合いです。

核家族が進む現代、うちのお寺は「何宗」なんて知らない人が多くなってきました。今直ぐには必要が無いかもしれませんが、お盆のお参りなどに来られる菩提寺のご住職に、恥を忍んで一度尋ねてみましょう。そのとき少しでも基礎知識を頭の片隅に入れておくことが大切かと思います。

そこで、うちのお寺、真言宗の基礎知識を調べてみました。

高野山 金剛峯寺

高野山 金剛峯寺

○そもそも密教とは

密教とは「秘密の仏教」ということで、密教以外の仏教は顕教といいます。その違いは、密教が永久不滅の絶対者である大日如来が説いた教えに対して、顕教は衆生救済のために大日如来がお釈迦様となって現世にあらわれて説いた教えであるため、顕教の教えは表層にとどまるとされています。

密教の秘密の教えには二つの意味があり、一つは人間は仏陀になれるのにそれに気づかずにいる<衆生秘密>、もう一つはお釈迦様の教えは法を説く相手の宗教的素養に応じて説いているためにわかりやすいが、大日如来の教えは仏の世界の言葉であるため、ふつうの人間には知ることができない<如来秘密>です。

○真言とは

真言とは、真実の言葉。

つまり仏さま自身の言葉ということです。人間の心の内にあり外からではわからない言葉といってもいいです。もともとは梵語のマントラのことです。陀羅尼(だらに)も真言と同じ意味で「忘れないようにする」「記憶すべきもの」の意味です。一般に真言は比較的短いものを、陀羅尼はやや長いものをいいます。

真言は、弘法大師が、「一字に千里を含む」といっているように、たったひと文字であっても大日如来の教える無限の心理を含んでいます。

○即身成仏の意味

即身成仏とはミイラ仏になることと誤解されていることもありますが、そうではありません。

いま生きているあいだに修行すれば、そのままで仏になることができるということです。

いいかえれば仏さまと自分が一体となった状態です。

真言密教は、一心に修行して祈り、仏さまと一体になることによって仏さまの加護を受ける教えです。

○真言宗の本尊

真言宗では根本本尊としておまつりしているのは大日如来です。

大日如来は宇宙の真理を意味する法身仏で、諸尊の一切は大日如来が教化のために姿を変えたものであると考えられています。

また、大日如来の法を受けて現実世界で悟りを説いたのがお釈迦さまと考えられています。つまり、お釈迦さまは大日如来が現世に現れた姿ということです。

そして、真言宗のお寺では大日如来以外に、その教えを説いた祖師弘法大師を本尊としたり、阿弥陀・薬師などの如来、観音・文殊なのど菩薩のほか、いろいろな仏さまを本尊としています。

これも、大日如来がその時と場所に応じて姿を変えて現れると考えられています。

○よりどころとする経典

真言宗では「大日経」と「金剛頂経」の二つを<両部の大経>と読んで根本経典としています。

「大日経」は、法身仏である大日如来がその知恵によってすべてのものに慈悲の光をそそいで救済するという教えを説いたもので、「金剛頂経」は「大日経」で説かれた悟りの心、菩提心を把握、実践するための教えが説かれています。

また、この二つに「蘇悉地経(そしちじきょう)」を加えて<三部密教>、さらに「愉祇経(ゆぎきょう)」「要略念誦経(ようりゃくねんじゅきょう)」を加えて<五部密教>と呼ぶこともあります。

○曼荼羅とは

梵語の音写で「本質を有するもの」という意味で、簡単に言えば、我々人間と仏さまの交流を軸にして、仏さまの世界、宇宙の真理を描いたものが曼荼羅であり、図や絵だけでなくさまざまなスタイルでかかれたものがあります。

真言宗で尊ばれるのは、「大日経」に基づく胎蔵曼荼羅と「金剛頂経」に基づく金剛界曼荼羅です。

胎蔵曼荼羅は大日如来の真実、理をあらわしたもので、金剛界曼荼羅はその真実、理にいたるまでの知恵と実践をあらわしたものであり、この二つは切り離せません。

そのため、真言宗のお寺では本堂の東側に胎蔵曼荼羅を、西側に金剛界曼荼羅を掲げ、一対としています。

○真言宗と天台宗の違い

平安時代のはじめに、ともに唐に渡った空海と最澄によって開かれた真言宗と天台宗は「東密」「台密」と呼ばれ、日本に密教の教えをもたらしました。

両宗派の大きな違いは、真言宗では「顕教(真言宗以外の宗派)よりも秘密が優れており、真言密教は宗派を超えた究極の境地である」と説いてあるに対して、天台宗は「顕教一致=顕教と密教は根本的に同じである」という考え方が基本です。

○真言宗のお寺の特徴
真言宗のお寺は、金堂(本堂)、講堂、御影堂、護摩堂、五重塔、多宝塔などからなっています。御影堂は弘法大師を祀ったものです。
他の宗派のお寺に見られないものが、多宝塔です。多宝塔があれば真言宗の寺院と思っても間違いないでしょう。

真言宗では多宝塔を独立した建築物として、大日・阿閦(あしゅく)・宝生・阿弥陀・不空成就の五如来、あるいは大日如来一仏を祀っています。

総本山教王護国寺(東寺)

総本山教王護国寺(東寺)

○真言宗の戒名

真言宗の戒名は「法名」「法号」とも言います。仏道を信仰して、仏門に入った証として仏の戒法を授けられ、教法を伝授されたということで与えられる名前です。

真言宗の戒名の祀り方の特徴は戒名の上に梵語の(ア字)を書く。子どもの場合は(カ字)になります。

ア字は故人が大日如来の悟りに帰入することを、カ字は地蔵菩薩の導きに従うことを示します。

○法具の特徴

真言宗の僧侶は、即身成仏するために、さまざまな修法の象徴として大きな力となるのが数々の法具です。

中でも真言宗独特の法具としては、修法を行う場と修法者を守る金剛杵、羯磨(かつま)などがあります。これらは修法を行う空間をつくり、修法者を護衛する、つまり結界するための道具です。

また、密教では、歌謡や舞踊で仏さまを喜ばせることも重要で、金剛鈴、鐃(にょう)、鈸(はち)、磬(けい)などがある。このほかに自在に法を説くための法具として輪宝があります。

法具

法具

○真言宗18本山

<古義真言宗>
高野山真言宗  総本山金剛峯寺 (和歌山県伊都郡高野町 3600寺院)
東寺真言宗   総本山教王護国寺(東寺)(京都市南区 135寺院)
真言宗善通寺派 総本山善通寺 (香川県善通寺市 244寺院)
大本山隋心院 (京都市山科区)
真言宗山階派  大本山勧修寺 (京都市山科区 131寺院)
真言宗醍醐派  総本山醍醐寺 (京都市伏見区 834寺院)
真言宗御室派  総本山仁和寺 (京都市右京区 778寺院)
真言宗大覚寺派 総本山大覚寺 (京都市右京区 370寺院)
真言宗泉涌寺派 総本山泉涌寺 (京都市東山区 67寺院)
信貴山真言宗  総本山朝護孫子寺 (奈良県生駒郡平群町 34寺院)
真言宗中山寺派 大本山中山寺 (兵庫県宝塚市 6寺院)
真言三宝宗   大本山清澄寺 (兵庫県宝塚市 7寺院)
真言宗須磨寺派 大本山福祥寺(須磨寺) (兵庫県神戸市須磨区 12寺院)


=========================================
<スポンサードリンク> =========================================

<新義真言宗>
新義真言宗   総本山根来寺 (和歌山県岩出市 207寺院)
真言宗智山派  総本山智積院 (京都市東山区 2907寺院)
真言宗豊山派  総本山長谷寺 (奈良県桜井市 2635寺院)

<真言律宗>
真言律宗   総本山西大寺 (奈良県奈良市 91寺院)
大本山宝山寺 (奈良県生駒市)

出典:「平成25年版 宗教年鑑」(文化庁編)

○仏壇と本尊

真言宗のお寺に祀られる本尊は、大日如来、不動明王、薬師如来、阿弥陀如来、観音菩薩など、さまざまです。菩提寺がまっている本尊を家庭の仏壇の本尊にしてもようし、すでに祀られている本尊があればそのままでかまいません。原則として本尊は菩提寺を通じて求めます。

家庭の仏壇に新しく本尊を祀る場合は、すべての仏さまを代表する大日如来がよいでしょう。または、真言宗の宗祖弘法大師空海をまつります。

本尊は木像でも絵像(掛軸)でもようでしょう。仏壇の上段中央の奥に祀ります。
本尊の掛軸だけで十分ですが、左右に脇掛を祀ると丁寧です。大日如来を本尊にする場合は、向かって右に弘法大師、左に不動明王をつります。不動明王は大日如来の使者である明王の代表です。

仏壇には亡くなった家族の位牌も安置しますが、本尊が主であり、位牌はあくまでも従という関係になります。しかし、小さな仏壇の場合は略式として本尊の両脇に位牌を安置してもかまいません。

○仏壇と供物

仏壇

仏壇にはさまざまな供物や仏具が飾られます。これを「荘厳(そうごん)」といいます。伝統的な三段の仏壇では上段中央に本尊を祀ります。

供物の基本は、仏飯と茶湯。仏飯器にごはんをよそって中央向かって右に、茶湯器にお茶や水をいれて左にそなえます。

仏壇の大きさに応じて、本尊の前に一対だけでもよいですし、脇掛の前にも一対ずつ供えてもかまいません。

位牌は原則として中段に安置し、古いものを向かって右に、新しいものを左にします。両脇には菓子や果物などを高坏にのせてそなえます。

過去帳や霊供膳を置く場所については、仏壇の幅や奥行きなどにより臨機応変に工夫すればいいでしょう。

下段には、基本の仏具である「三具足」を配置します。
三具足とは、ローソクを立てる燭台、線香や抹香を焚く香炉、花を立てる華瓶です。

仏壇の前に経机を置き、数珠、教本、リン、線香立てなどを置きます。

住まいの事情等で仏壇を置くことができない場合は、低い棚の上などに本尊と三具足だけを置くだけでも仏壇といえます。

詳しいことは菩提寺にご相談ください。

○合掌と礼拝のしかた

仏教では、右手を仏さま、左手を自分として、仏さまと自分が一体になる気持ちで合掌をすることを基本としています。

真言宗の一般的な合掌のやり方には、蓮華合掌と金剛合掌があります。

どちらも手を胸に軽くつけて45度の角度にし、背筋をのばしてあごを引くと美しい姿勢になります。

合掌したまま軽く頭を下げ、三礼して読経に入ります。

また、「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」ととなえる宗祖御宝号も“南無”とは信心するという意味なので「弘法大師さまを信心します」という意味になります。

礼拝

○数珠(念珠)の持ち方

数珠は仏前に合掌礼拝するときに用います。真言宗では真言の回数を数えるために欠かさないものとして「念珠」と呼ばれます。

真言宗の正式な念珠は、空海が唐から伝えた108珠の「振分念珠」です。

真言宗の本連の振分念珠の作法は、おつとめの始めと終わりに、念珠を左右の中指にかけて房を内側にして手のひらで包み込み、軽く三回すり合わせます。読経の間は、長いまま左手首にかけておきます。持つときは二重にして左手で、房を押さえて持ちます。置くときは三重にして房を輪のなかにたたみこみます。

宗派を問わない略式の短念珠を用いるときは、左手の4本の指にかけて合掌し、持つときは左手で房を下にたらします。

念珠

○おつとめでとなえるお経

真言宗の檀信徒の日常のおつとめは、真言宗各宗派の宗務庁が発行する教本に則って行われるのが正式です。

教本を求める場合は、菩提寺におたつねしてください。

○焼香の作法

焼香

葬儀や法要の焼香には、数種類の香木を刻んで調合した五種香が使われます。日常的に使う線香は長持ちすることからお墓参りなどで使われるようになった略式です。

焼香の作法は通夜も葬儀のときも変わりません。導師から合図があったら、喪主を先頭に血縁の順番に焼香を行っていきます。親族のあと、知人、一般会葬者となります。

焼香の回数については、真言宗では、仏・法・僧の三宝に供養すること、また三密修行に精進するため、三回といわれていますが、必ずしも三回でなければいけないというわけではなく、会葬者の人数により一回で済ませてもかまいません。

香炉を順送りして自分の席で焼香する回し焼香の場合も、基本は同じです。

いかがでしょうか。真言宗の一般的な基礎知識です。
同じ「真言宗」であっても真言宗各宗派によっては若干違う部分はあると思います。
その場合は、お近くの菩提寺、仏具店にご確認ください。

(出典:うちのお寺は真言宗/双葉社)

<スポンサードリンク>



このエントリーをはてなブックマークに追加
Pocket